9.3 問題を解きながら覚えると効率が20%アップ
更新日 2021年5月23日
既に紹介した内容ですが、大事なのでもう一度載せます。必要ない人は飛ばしてください。
⇒<8.5 授業とネット授業の受けすぎには注意>
「聞く」「見る」の学習を『インプット学習』と言います。
例えば、先生の話を聞く/動画を見る/参考書を見るなど、いわば受け身の学習です。
それに対して「問題を解く学習」を『アウトプット学習』と言います。
ちゃんと授業を聞いてたのに、または何回も教科書を読んだのに、しっかり理解したつもりだったのに、いざテストになると問題が解けない、という経験はないですか?
パデュー大学が、学生180人が「文章を読んで覚える学習法」と「テスト形式で問題を解きながらの学習法」と、1週間後にどちらが内容をよく覚えているか、という実験をしました。
その結果、同じ時間を勉強したとしても、テスト形式の学習の割合を多くするほど、1週間後に覚えている率が高いことが分かりました。
これは『テスト効果』と呼ばれています。
つまり読む(聞く)だけの学習だけをしても定着率は低く、テスト形式で問題を解きながら覚えないと定着率が上がらない、ということです。
またアンケートでも、東大合格者の85%が「話を聞く/参考書を見るより、問題を解きながら覚える」を意識していました。
東大生はテスト効果を知っているか、あるいは経験としてテスト効果に気付いたのかもしれません。
またアメリカ国立訓練研究所が『ラーニングピラミッド』という勉強方法別の定着率を発表しています。
これによると聞く/見る/読むの定着率は5~20%に過ぎず、問題を解く/実践するの定着率は75%になっています。
諸説ありますが、一説によるとインプットとアウトプットの最適な比率は3:7と言われています。
(ここに関しては論文を調べて、また追記します)
つまり授業を聞く、ネット授業を見る、参考書を読む時間が3時間あったら、問題集を解く時間が7時間必要、ということです。
さらに試験直前期になると、インプットとアウトプットの最適な比率は1:9がいいと言われています。
理想のアウトプット時間が確保できている人は少ないのではないでしょうか?
多くの人にとっては、「解かないと覚えない」なんて当たり前のことで、「そんなこと知っているよ」という思いになるかもしれません。
ですが、私が出会った受験生の多くは、勉強というと「先生の話を聞きながらノートを取ること」だと思いこんでいました。
小さいころから学校の授業で勉強しているとそういう感覚になってしまうのかもしれません。
「自分のアウトプット学習の時間比率が70%以上になっている」と自信を持って言えますでしょうか?
マジメな学生ほど、学校の授業を聞き、塾の授業を聞き、ネット授業を見る、とインプット学習をついつい重ねてしまいます。
その結果、アウトプット学習の時間が不足し、マジメに長時間勉強しているのに成績が伸びないとか、塾にたくさんいっているのに成績が伸びない、ということが本当によく起こります。
一生懸命やっているからこそ、とてももったいないことです。
難関大合格者は、これを知っているから、独学を中心とした勉強を選ぶ傾向が強いのかもしれません。
⇒<6.1 塾に頼る人の合格率は低い>
成績が伸びないなと思ったら、インプット学習とアウトプット学習の比率を見直してみてください。
ネット授業/動画授業はたしかに分かりやすいです。
学校の授業よりもはるかに分かりやすい授業が、自分が受けたいときに受けられる、というのはとても便利です。
初めて学ぶ単元や、苦手教科の克服のための第一歩としてはとても有効だと思います。
ただし、中級者以上はアウトプット学習時間の確保が重要になります。
チンプンカンプンだった科目が、ネット授業で理解できたとすると、「もっとネット授業を受けよう」と思いがちですし、塾の先生も「もっとネット授業を受けなさい」とススめてくるかもしれません。
ですがそこをぐっと抑えて問題集に向き合う時間を増やしてください。
問題を解く中で分からないところや不安なところが出てきたら、そこだけネット授業を見るのはいいと思います。
動画に出てくる先生の華麗な解法/解説を見て理解できた気分になるかもしれませんが、実際それを自分の手で解こうと思うと全然できない、ということはよくあります。
どれだけ分かりやすい授業を受けても、問題を解かないと成長しないということを覚えておいてください。
本コラムのまとめ
- 授業を聞く/参考書を読むという『インプット学習』だけでは定着率は低く、問題を解く『アウトプット学習』の割合を増やすことで定着率が高くなる。
- インプットとアウトプットの比率は3:7、試験直前は1:9がいい。
- 多くの受験生は、学校/塾/ネット授業などでインプット学習に偏りすぎて、アウトプット学習が不足している。